「鮨」、「鮓」、「寿司」と色々ありますが、どう違うのですか?
「鮨」「鮓」は実は古い漢字である。近年誰かが考え出した字のように思われているが、とんでもない。つくり字どころか実は「鮨」という漢字こそ、この一群の中で「魚を調理した食品」という意味で使われた最古のものである。「寿司」はすし屋が縁起をかついで当てた字なのである。

日本のにぎりずしはいつ頃から始まったのですか?
関東の江戸前ずしは、文化分政(1827)ごろから、型を成して来たようである。現代のにぎりに成るまでには1000年近く少しずつ変化したようです。

いつ頃からすしなるものを日本人は食べていたのですか?
日本のすしはいつ生まれたのか古書によると「鮨」、「鮓」の出て来た8世紀のはじめ、皆さんご存知の近江の「鮒ずし」これがすしの起源として分化していったものである。いわゆる「熟ずし」である。このころから、すしなるものを食べはじめたのであろう。

それでは関西すしはいつごろから?
室町、安土、桃山時代ごろから食生活に変化が表れ、それまでは米は蒸して食していたが煮るご飯へと1日2食が3食へと変わっていった。次第にご飯の上に魚をのせた「サバの棒すし」小鯛の「雀すし」と色々な材料を上にのせた箱ずしへと変化していったのである。

すしが大衆化し、流行しはじめたころは、どのようにして販売していたのですか?
すしの最初の販売方法は天秤棒の桶にすしを入れ「すしはいらんかねぇ〜、マグロにコハダ〜」と云いながら町を回りながら売っていた。その内に「屋台」と「内容」の両方で経営された「屋台」といっても馬鹿にできず、わざわざ食べに出かけたものです。「屋台」は昭和14年(1939)公衆衛生法、交通法の理由で禁止された。

「屋台」だとお客は立って食べていたのですか?
客はもちろん立食い。現在カウンターのことを「立ち」と呼ぶのはこのころのばごりである。今とまったく逆で、にぎる人は1人でお茶出しから会計までやるので、混んだ時は大変な忙しさであった。にぎる人は正座してにぎっていたようである。湯飲みが大きくなったのは、何回もお茶の入れかえをしなければならないので、大きな湯飲みを使ったのである。

当時のネタはどんなものだったのですか?
冷蔵庫もない時代ですから、あまり生物は使われませんでした。煮たもの、焼いたもの、酢漬けのもの、保存しやすい、手のかかるネタであったのである。

ではいつごろから現在の生のネタになったのですか?
流行しはじめ、しだいに職人達は多く売る為に、手がかからない生のネタを使いはじめた。それが美味しいと評判になり、生のネタの方が江戸っ子に向いたようである。このころからが「江戸前すし」の誕生であろう。さらに明治30年代になると氷の冷蔵庫、ネタケースなどが普及して現代の様なすし業へと変化していったのであろう。

明治、大正、昭和と日本の戦争の時代を迎え、当時のすし屋に米は手に入ったのですか?
多くの戦争の末、敗戦国となり、食糧統制により、正常なすし店経営はできなくなり、多くの店が閉店に追い込まれた。ところが、大阪の八木輝昌という人が中心になり、GHQを熱心に交渉を重ね、ついに「委託加工制」という方法で許可を得て、再びすしの販売が始まった。実はこの「委託加工制」が江戸前ずしを全国に拡げる原動力になったのである。

お好みのすしを食べる時に順序があるのですか?
普通には玉子から入り、最後には巻物で仕上げるといかにも通ぶりを感じられるが、あまりこだわる必要はないのではなかろうか。好きなもの、食べたいものから注文をして食べた方が楽しめると思われる。他人に迷惑にならぬ食べ方なら、あまり気にする必要はないのでしょう。

正油はネタとシャリのどちらにつけるのかですか?
普通のにぎりはネタの方につけた方がよいでしょう。シャリだと正油を吸い込んでから辛くなってしまいます。軍艦巻などは上にのせてあるネタが落ちるので海苔とシャリの間の角のところに少々つけるのがよいでしょう。

すし屋での上手な食べ方はありますか?
好みばかりを食べると少々値段も高くなりやすいので、まず決まり物の盛り合わせを食べ、まだ食べれるようでしたら、食べたいお好みのものを注文すれば、安くて満足できるでしょう。又、決まり物の中にたとえば光り物が入っていて、それがだめな人は「それを抜いてください」と言えば、ほとんどの店でそれを抜いて代わりのネタを入れてくれます。

なぜ、すしご飯のことを「シャリ」というのですか?
仏教国では人の骨を「仏舎利」といいます。その形がお米の形に似ていたことから、すしめしを「シャリ」と呼ぶようになったのです。

にぎりをカウンターで食べる時、手で食すか、箸で食すか、どちらがよいのですか?
以前はカウンターの上に水道を引き、水を流していましたが、今ではほとんど見かけません。衛生上、よくないと指導があり、取り付けていません。やはり箸で食べた方がよいでしょう。箸だろうと手であろうと味は変わりません。箸の方が清潔な感じがします。